マッサージを受けに来る方の大半は肩こりを気にしておられる方が多いので、今回は肩こりへのマッサージを書いていきます。肩こりは、首や肩の筋肉に知らず知らずのうちに力が入ってしまい、そのまま長時間同じ姿勢でいることで起こることが多いのです。読書に熱中してしまったり、パソコンを長時間使って作業をしたり、睡眠中の姿勢が悪かったりすることで起こります。肩こりというのは肩の筋肉が固まって腫れている状態をさします。筋肉というのは、延び縮みするものではなく、縮むことによって身体を動かす働きをするところですから、縮みきった状態で固まってしまっていると身体を動かすことで抵抗を感じます。これをほぐすには、手や指で押したり、さすったりしながら圧を加えるか、お風呂であたたまるなどして熱を加えるかということになります。ハーブボールなどを押し当てていくテクニックもタイスタイルですが、(サムンプライといいます)これは、これらの圧と熱の行為を同時に行っているということになるわけですね。
肩の筋肉は僧帽筋といって首から肩へとつながっています。ちょっとご自分の肩を触ってみて下さい。鎖骨の後ろにあるのがその僧帽筋です。タイ式マッサージでは、肩の筋肉をもみほぐすのに、写真のようにいろいろなポーズをとりますが、これにはちゃんと理由があるのです。まずその理由を、自分の身体で理解しそれから人の身体を触ることは大切な作業です。
では、先ほど手で探した僧帽筋を触ったまま、首を横に倒してみてください。筋肉がどうなるかわかりますか?そうですね。少し盛り上がってきたのがわかりますか?では、次です。頭をまっすぐにしたら、軽く押したまま、右を向いたり、左を向いたりしてみてください。こうすることで、この筋肉も動きますね。つまりこの肩の筋肉は首からつながっているのです。
もし、あなたが、初めて人の身体をマッサージするのだとしたら、まず最初にポースを覚えるのではなく、自分の身体を触って、押してみて、どうしたら痛いか、どうしたら気持ちいいかを理解することが大切です。
では、押してみてください。どのくらいの力を加えるのが一番気持ちいいですか?では、どの方向に圧を加えたら一番気持ちいいですか?先ほどの僧帽筋を真上から押したらどんな感じがしますか?背中よりの後ろのほうから押したらどんな感じですか?それでは、前のほうから押したらどんな感じですか?少し分かってきたころだと思います。
危険な部位も理解しておきましょう。この部位は危険ですからゆっくりやってみてください。鎖骨と僧帽筋の間のくぼみを上から押してみてください。痛いでしょう。そうです。ここは人間の急所ですから、間違えて他人の身体で押してはいけません。マッサージでは、このように常に危険と背中合わせなのです。
では肩こりに効くマッサージを自分で試してみましょう。先程触った肩の筋肉を指で確かめなが軽く押してマッサージしていきましょう。肩の骨にぶつかるはずです。タイ式マッサージは骨を押すことはありませんから、肩の骨にぶつかる前のポイントまでを施術することになります。次はそのポイントから逆に首に向かってマッサージしていきながら、マッサージをする感覚というものをつかんでいって下さい。
ペアを組んでこれから相手をマッサージしていくわけですが、その前に注意点があります。
マッサージというものは人の身体をよくすることができますが、押す位置や押す角度を間違えると、逆に身体を悪くすることになってしまいます。きちんと指導を受ければ、決して難しいものではありません。タイ式マッサージは、大胆でアクロバティックなポースを多く含む施術法ですが、順番やポーズを覚えようとする人がいますが、最も重要なことは、じわーっと効く圧のかけ方なのです。日本のマッサージにおいてもそうですが、筋肉に対して垂直に圧を加えるのが基本ですから、頭においておいてください。 |